コラム

人生の悲しみ 

2007年5月20日   電車の中で、向かいに座っている女性が泣いていた。年齢は60代の後半ぐらいだろうか。ハンカチで顔を覆い隠すようにして、あんまり悲しそうにしていたので、どんなことがあったのだろう、あんなこ・・・

続きを読む

エベレストに乾杯! 

2007年4月20日   山口瞳だったか、安岡章太郎だったか、あるいはぜんぜん違う別の作家だったか。誰かに「酒飲みの自己弁護」というエッセイがあったように思う。それにどんなことが書いてあったかすっかり忘れてしま・・・

続きを読む

仲良しの法則

2007年3月20日   人は皆それぞれに違う。何が違うか。趣味?価値観?感性?生き方?……。いや、私が思ったのはトーンである。トーンを英和辞書で引くと、「正常な身体(精神)の調子」というのが出ている。おう、私・・・

続きを読む

変な人の時代

2007年2月20日   あの人は変な人だねーという人が昔はいた。アパートの部屋の中の、そのまた押し入れの中に電気を引いて生活していた人。どうしてそんな狭苦しいところにいるのと聞くと、「へへへ、この方が落ち着く・・・

続きを読む

歩くバランス・シート

2007年1月20日   人間というものは、歩くバランス・シートのような存在だとふと考えた。バランス・シート、つまり資産と負債の両面があり、会社なら会社の財産や借金の状態を表すものであるが、人は自分のことが資産・・・

続きを読む

今年一番びっくりしたこと

2006年12月20日   今年も残り少なくなったが、今年一番びっくりしたのは、つい先日のことである。あるシンポジウムに行ったら、壇上の席に自分の名札がぶら下がっていて、何だろうと思っていたら、あろうことか自分・・・

続きを読む

世界史は楽しい

2006年11月20日   世界史を高校で履修させていないところが全国にずいぶんあるというので問題になって、自殺した校長まで出たが、世界史がそんなに厄介物になっていたとは、ちっとも知らなかった。恥ずかしながら、・・・

続きを読む

忘れ得ぬ人々

2006年10月20日   もう30年以上前のことになるが、奄美大島の古仁屋港近くの民宿に一泊したときのこと。私は徳之島の亀得に何日か滞在して、船で鹿児島港に向かう旅の途中だった。月が高く、寝苦しい8月の夜だっ・・・

続きを読む

今はもう秋

2006年9月20日   この間、ホームレスみたいな人が忙しそうにケータイで電話してるのを見かけた。いったいどこの誰と話してるんだろう。ケータイの向こうに、ホームレス仲間でもいて、どっかの青テントの中にでも寝っ・・・

続きを読む

大事なもの

2006年8月20日   これまでの長い日本の歴史の中で、現代の日本人ほど物持ちはいないだろう。裕福な人は裕福な人なりに、そうでない人はそれなりに。皆、身の回りに大量のモノを抱え込んで生きている。それが決して幸・・・

続きを読む

一人勝ちをしない

2006年7月20日   夜汽車にゆられて、福井に行った。県の職員の人たちに企業会計、公営企業会計、公益法人会計、独立行政法人会計の話をする仕事で、3日間9時から5時までのハードスケジュールである。米原まで新幹・・・

続きを読む

スポーツバッカのニッポン

2006年6月20日   夜遅く帰ってテレビのチャンネルをひねると、どこもかしこもスポーツニュースばかりやっていて、いい加減にしろよといいたくなる。しかたなくNHK教育で「数学Ⅰ」の講義などを聴きながら缶ビール・・・

続きを読む

教育ってなんだ

2006年5月20日   このところのJRの利益追求の姿勢にはすさまじさを感じる、と以前書いたことがあるが、とうとう痛ましい犠牲者が出た。すさまじいのは西日本だけではない。JRの駅に電話をしてみて驚いた。なんと・・・

続きを読む

死ぬまでの宿題

2006年5月20日   高校の国語教師をしている友人夫妻から久しぶりに麻雀に誘われた。麻雀はこのところ隠れたブームになっているらしい。行ってみると、メンバーの一人は女流歌人だという同年配の人だった。麻雀が引け・・・

続きを読む

不機嫌な料理店

2006年4月20日   生徒が集まらなくてつぶれかかっていた学校を、父親に代わって理事長になった娘が立て直したという話が、新聞に載っていた。新聞は、それまでどこかの教員をしていた娘を優れた経営手腕の持ち主であ・・・

続きを読む

不思議な縁

  2006年3月20日   昭和27年10月xx日というのが私の生年月日だが、本屋で立ち読みをして、ある女流作家の書いた本の奥付を見たら、まったく同じ生年月日だったので驚いた。これが相撲取りやプロレスラーの生・・・

続きを読む

もうクラウンは買わない

2006年2月20日   日本の霊柩車の8割はクラウンだといわれている。「いつかはクラウン」というキャッチフレーズは、これにもなんだかぴったり来そうだが、「いつかはクラウン」は、クラウンという車の持っている上昇・・・

続きを読む

『さおだけ屋』を読む人々

2006年1月20日   久しぶりに自由が丘に行ったら、まだ駅前のふじや書店が残っていた。近ごろ、この規模の書店で生き残っているのは珍しい部類に入る。ふじや書店といえば、自由が丘の待ち合わせ場所のメッカなのであ・・・

続きを読む

死の棘が刺さっていた頃

 2005年12月20日   『死の棘』の作家、島尾敏雄に会ったことがある。なにかの会合の折りに二言、三言言葉を交わしただけなのだが、なんて陰気な人だろう、死の棘が刺さっているみたいだというのがそのときの私の印・・・

続きを読む

2005年11月20日   夏の盛り、8月の半ばのある日、家のベランダに落ちている一羽の鳥を見つけた。鳥はケガをしていたが、まだ命があった。さっそく獣医に見せて手当を受けた。鳥はそれまで飼った経験がなかった。鳥・・・

続きを読む

永久パンの思い出

2005年10月20日   子どもの頃に読んだ読み物の中で格別忘れられないのは、『永久パン』の話である。食べても食べても、なくならないパンの話で、いつだったかなにかの雑誌で寺山修司が子どもの頃に読んだ話のベスト・・・

続きを読む

道化師たちの9月

2005年9月20日   この10年で日本社会はずいぶん変質した。そのことの是非を問うたのが、今回の選挙だったと思う。いままでに何度か選挙があったが、まだそのときではなかったのだ。今回の選挙には珍妙な候補者たち・・・

続きを読む

郵便ポストが赤いのも

2005年8月20日   織田信長は自殺願望の強い人だったという説がある。世に名高い桶狭間の戦いは、突然の豪雨で休んでいる今川義元の本陣に信長軍が奇襲を掛けるシーンがドラマなどではよく描かれている。しかし、最近・・・

続きを読む

みんな乞食みたい

2005年7月20日   『フーテン』の漫画家永島慎二が亡くなったとなにかの記事で読んだ。それでふと、昔永島慎二の漫画を貸してくれたI君のことを思い出した。1960年代の終わり頃のことだ。僕らは受験勉強などろく・・・

続きを読む

不思議な人たち

2005年6月20日   街の喫茶店が次々に店じまいして、駅前にたった一つだけ残っている古い喫茶店がえらく繁盛している。ほとんど30年前にタイムスリップしたような店で、メニューも、調度類も古く、愛想もとびきり悪・・・

続きを読む

先生はえらい

2005年4月20日   花粉症で目がかゆくて、かゆくてまいっていたら、目を洗われるような本に出会った。内田樹という人の書いた『先生はえらい』というタイトルの本である。この本には、えらい先生とはどういう先生かが・・・

続きを読む

赤き唇

2005年3月20日   『バカの壁』の養老先生の本を読んでいたら、人の唇というのは内臓が反転してむき出しになっているんだというようなことが書いてあった。「命短し恋せよ乙女、赤き唇あせぬ間に」などと歌うが、乙女・・・

続きを読む

もうごめんだ!

   2005年2月20日   「結婚して子供を生み、そして、子供に背かれ、おいてくたばって死ぬ、そういう生活者をもしも想定できるならば、そういう生活の仕方をして生涯を終える者が、いちばん価値がある存在なんだ。・・・

続きを読む

青 空

2005年1月20日   長い会議から解放されて、ふと空を見上げたとき、青空があるのは救いである。救いはあちこちに転がっているようで、意外に転がってはいない。この歳になると、そのことがよくわかる。だから、青空が・・・

続きを読む

ヨシ様の熱病

2004年12月20日   今でも小学校の図書室に行くと『世界の7不思議』なんて本があったりするのだろうか。昔の図書室の本棚にはその手の本が山ほど置いてあった。エジプトのピラミッドやスフィンクス、万里の長城、イ・・・

続きを読む