コラム
あっ、はい
2001年8月20日
名は体を現わすというが、言葉は何を現わすというのだろう。ことわざ辞典を引いてみると、「言(こと)は立ち居を現わす」というのと「言葉は身の文(あや)」というのが出ている。どちらもあまりなじみがないが、意味するところは昔からなじみがあった気がする。
最近若い人の携帯電話でのやりとりを聞いていて気になるのが、「あっ、はい」である。「はい」の前に必ず「あっ」を付ける。気をつけていると、電話だけではなく通常の会話の中にも頻繁に出てくる。
これにはどういう意味があるのだろうと考えてみた。ただ単に「はい」と言いたくない。「はい」だけでは、下位に置かれているようでプライドが傷つく。しかし、「はい、はい」では、「下位になんか置かれてませんよ」というのがあからさまに出る。そこで、「いちおう」の意味を込めた「あっ」をつけて、それから一拍置いて「はい」と言う。そんな感じではなかろうか。それで、プライドを守っている。確かに、プライドは大事だが…。
そういう感じはしかし、聞いている人にはなんとなく伝わっている。といいながら、自分でも「あっ、はい」と言ってしまって、顔から火が出たことがなかったわけではない。