コラム
不思議な縁
2006年3月20日
昭和27年10月xx日というのが私の生年月日だが、本屋で立ち読みをして、ある女流作家の書いた本の奥付を見たら、まったく同じ生年月日だったので驚いた。これが相撲取りやプロレスラーの生年月日だったら、さほど気にも止めないが、なにせモデルと見まがうような美人作家である。とたんに、なんだか不思議なエニシで結ばれているような気にさえなった。が、よくよく考えてみたら、昭和27年生まれは200万人近くもいる。(さてと…、電卓を持ち出して)。単純に365日で割っても、5,479人。10月生まれは一般的に多いらしいから、それからすると、10月xx日生まれは6,000人はいる勘定になりそうだ。(なーんだ、ちっとも不思議なエニシじゃないじゃない。)
実を言うとこの作家の小説はちゃんと読んだことはないのだが、前に、新幹線に置いてある雑誌に載っていたエッセイを読んだことがあった。舞台は1960年代の終わり、東北地方にある駅のホーム、革命家気取りの高校生の少年の危険な旅立ちを見送るセーラー服の少女、北海道にオルグに行くという命がけの旅だ、もう二度と会うことはないかもしれない、ところが少年はあっけなく帰ってきて少女を幻滅させてしまう。作家の少女時代の思い出を書いたものだったが、私は高校生の頃の自分の姿とダブらせて、(といっても私を見送ってくれる少女などいなかったが、)何度も何度も読み返したのだった。それで、この間思い出してこの作家の書いた本の奥付をめくってみた。で、冒頭に戻るのである。
ところで、日本の景気は回復していると政府は言っているが本当にそうなのだろうか。政府の税務当局が前に出した「日本の実像」つまり、“ほんとのところはどうなのよ?”というレポートでは、日本はこれから人口はどんどん減っていくし、経済は以前のような発展条件が全部なくなって、もう右肩上がりにはなれっこない。財政赤字は知ってのとおり最悪の状況で、「結局増税をやるしかないんだよ。わかってくれよ。」という結論を指し示していた。だから、今の景気回復の話も、政府の増税に向けた環境作りという面が強いのかなあと思っている。
それから、小泉首相が議長を務める対日投資会議は、今後4年間で外国企業の対日投資を倍増させることを決めた。外国企業に日本企業を買収させようということを、日本政府が決めているのである。昔であれば、こういうことをすれば「買弁」と呼ばれただろうが、今はそれが国内の雇用の確保につながり、日本企業の対外進出とバーターになるからいいのだということになっている。