コラム
世界史は楽しい
2006年11月20日
世界史を高校で履修させていないところが全国にずいぶんあるというので問題になって、自殺した校長まで出たが、世界史がそんなに厄介物になっていたとは、ちっとも知らなかった。恥ずかしながら、高校の教科では世界史にしか興味がなく、今でもときどき「山川の世界史」の教科書を買って本棚に置いている世界史好きの私としては、アハハと笑うしかないような事態である。
『世界史の誕生』(岡田英弘著、筑摩書房、1992年)という本によれば、1206年の春、モンゴル高原の片隅に集まった遊牧民たちがチンギス・ハーンを最高指導者として選んだときが世界史のはじまりであったという。このときからチンギス・ハーンとその子孫たちに率いられたモンゴル人たちは、世界征服の長い旅に出ていったのである。そして、東西にまたがるモンゴル帝国が中国文明とヨーロッパ文明を直結したとき、全ユーラシア大陸をおおう世界史が可能になったと書かれている。世界史って、壮大だなあ。
日本の歴史教育で世界史という科目ができたのは戦後の学制改革によるもので、戦前は万国史と東洋史に分かれていたそうだ。万国史といっても、対象は全世界ではなく、ギリシア、マケドニア帝国、ローマ帝国、ゲルマンから分かれたイギリス、フランス、ドイツに限られていたという。
映画好きな人向けには、『DVD映画で楽しむ世界史』(大串夏身著、青弓社)という本が出ている。この本では、旧約聖書の世界から第2次世界大戦のときまで、歴史的な出来事や人物をテーマにしたDVD映画が取り上げられている。その中でなにが一番面白かったか。作者が一番にあげているのはモーツアルトを描いた『アマデウス』である。2番目は『シカゴ』、3番目は『ヘンリー8世の私生活』、それから『巨星ジーグフェルド』、『ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディー』、『カッスル夫妻』と続き、フランス革命を舞台にした『グレースと公爵』、戦争物の『パットン大戦車軍団』をはさんで、インド独立運動の『ガンジー』が最後にあげられている。
世界史って、こんなに面白いんだけどなあ。