コラム

お笑い公益法人税制

2007年12月20日

 

政府の税制改正大綱が公表されたばかりだが、その中に「それ見たことか」といいたくなるような改正があった。これまで政府は盛んに、法人はすべて法人税がかかるんだとした上で、法人を公益性がある法人と公益性がない法人とに分けて、公益性がない法人は原則課税にするんだといい続けてきた。政府税調も平成17年にわざわざ報告書まで出して、その考え方がいいんだといっていたし、たしか税務大学校なども一生懸命その片棒担ぎをしていたのである。ところが、いざふたを開けてみたら、政府が今まで言ってきたこととまったく違う制度になっていたので驚いた。結局、理屈の付けようがなくて、頓挫したんだろうと思う。それにしても、あれだけ既定方針のように言っていたのに、まったく違う内容になってしまって、政府はともかく政府税調や税務大学校などは恥ずかしくないのかなあとも思うのだが、まあそんなことはどうでもいいか。

ところで、3年ほど前になるが、「税経通信」という雑誌の巻頭言に『公益性という名の幻』という小文を書いたことがある。それは、公益法人の税制についての政府の考え方がおかしいと異を唱える内容のものだった。

「公益性とは何かという問題に対して、改革は真正面から取り組んでいない。にもかかわらず、改革は公益性を中心に据えて制度の再編を図ろうとしている。

しかし、ここは思い切って真実を述べなければならない。改革が前提としている公益性は幻である。ありもしない公益性への思い込みは、非営利性を基に構築されるべき法人制度の本来のあり方を歪めるだけでなく、税制のねじれを引き起こすこととなる。改革の方向を間違わないためには、公益性という幻ではなく、非営利性という明確な属性によって制度の構築を図り、その中で課税の公平の観点から軽減税率やみなし寄付金制度の廃止を含めた大胆な見直しを進めることこそがむしろ必要である。」

政府は、公益性を幻にしないために、認定公益法人制度という大掛かりな虚構を作り上げ、税制もそれで押し切ろうとしたが、うまくいかず、結局は配当をする法人かどうかの非営利性によって、税制を再編成するしかなかったのである。