コラム

おもしろくない会議

2008年10月20日

 

日本××協会の会議に出席するたびに、こんなにおもしろくない会議が世の中にあるだろうかと思う。会議というものの多くは、そもそも会議をやりましたよ、意見を聞きましたよというアリバイ作りのためにやるものだから、おもしろくないものと、はなから相場は決まっている。しかし、何かしら突拍子もないことを言い出す人などもいて、多少物議をかもして眠気覚ましになったり、持ち前の蘊蓄を傾ける人がいて、ああ勉強になったなあ、と感じることもあったりするような会議もないわけではない。ところが、おもしろくない会議というのは、徹頭徹尾おもしろくない。その見本のような会議が、世の中にはあるものだ。

現代のようなアリバイ民主主義の日本では、こうした会議は増える一方だろうと思う。しょっちゅう会議を招集して、延々と説明し続ければ、だいたいは疲れ果ててどうでもよくなってしまう。結局、長時間の会議に耐えられる者が主導権を握るようになっていくのだが、政治家や官僚といった人士は、めぐり合わせでそういう会議に耐えられるようになってしまった者たちということなのだろう。これを忍耐力というのかどうか、よく分からないが。

ところで、アメリカ経済がたいへんなことになった。アメリカが風邪をひくと日本がくしゃみをするといわれたのはだいぶ昔のことだが、今はどう言うべきなのだろう。フランスの歴史学者エマニュエル・トッドは、2002年に書いた『帝国以後』という本の中で、今後数年のうちに、アメリカに投資した日本とヨーロッパの金融機関や投資家は身ぐるみをはがされるだろうと書いていた。どのようにして、どの程度の速さで剥がされるかはわからないが、それは間違いないと予言していた。もっとも考えられるのは、前代未聞の規模の証券パニックに続いてドルの崩壊が起きるという連鎖反応で、その結果はアメリカの経済的地位に終止符を打つことになるだろうと。

エマニュエル・トッドは、1976年に書いた『最後の転落』という本の中で、10年から30年以内にソビエト連邦が崩壊すると予言して、的中させたことで知られている。