コラム

バカの箱

2014年9月20日

 

「テレビはバカの箱」という言葉が韓国にはあるそうだ。韓国のテレビだけがとりわけてそうというわけでもないだろうし、日本のテレビも同じようなものだと思っていたら、日本のテレビは、同じ「バカの箱」でも、ちょっと違うのだという。

何が違うかというと、日本のテレビは無数の質問とクエスチョンマークであふれている。

クイズ番組はもちろんのこと、バラエティ番組、ドラマ、CM、ニュース番組に至るまで、日本のテレビは視聴者に対して「答えは何でしょうか?」「あなたはどう思いますか?」と問いかけているというのである。たしかに、日本ではテレビのどのチャンネルをひねってもクイズ番組が多いし、バラエティ番組も必ずと言っていいほどクイズがあり、ドラマやCM、ニュース番組までがクイズみたいな作られ方をしている。

わかりやすい例をあげると、スポーツニュースだが、韓国ではまず試合の結果を伝えてから、ハイライトシーンを流す方法をとるので、最初の部分だけを見て、あとはほとんど見ない人も多いと『クイズ化するテレビ』という本に書いてあった。日本では、終わった試合でも結果は隠しておき、先にハイライトシーンを見せながら視聴者をつなぎとめて、最後に結果を知らせる方法をとるので最後まで見なければならない。

こうした、日本のテレビのクイズ化は、行き過ぎており、姑息な感じのする番組作りには視聴者もだんだん食傷している。テレビを見ていて、心地よいくつろぎが感じられないばかりか、イライラがつのることが多いのは、コマーシャルが超長すぎることもあるが、この行き過ぎたクイズ化に理由があるのではないか。

ところで、同時代という言葉があるが、年を取るにつれて、人が同時代から外れて生きるのは、耐え難いことだと思うようになった。人はそれには耐えられないと知っていたので、乙姫は浦島に玉手箱を持たせたのだろう。それにしても、浦島は、亀を助けたばかりになぜそんな耐え難い目に会わなければならなかったのか。それは、ヨブ記のヨブと同じ、神のみぞ知るで、人知の及ぶところではないのだろう。