コラム
鳩のように蛇のように
2024年11月20日
アメリカの大統領選、ドナルド・トランプの勝利をどう思う、と友人のKに尋ねてみた。
「前から分かっていたことだよ。」
でも、新聞やテレビの報道はそうじゃなかったよね。日本のマスコミも史上まれにみる接戦だとか言ってたし。
「マスコミはね、もうかつてのように視聴者や読者の共感を得ることで視聴率を稼いだり、発行部数を増やしたりしていないんだよ。もうそんなことをしても凋落にストップがかからないことに気が付いたんだ。」
「そこで、マスコミはむしろ視聴者や読者の反感を買うことで、マスコミへの関心をつなぎとめて、少しでも視聴者や読者を獲得する戦略にシフトしたんだ。」
それじゃあ、なに。マスコミは、最初からトランプ支持者が圧倒的に多いと分かっていて、彼らの反感を買うために、カマラ・ハリスを持ち上げてたってこと?
「そういうことだよ。」
アメリカのマスコミだけじゃなく、日本のマスコミもそうなの?
「マスコミをなめちゃいけないよ。彼らは蛇のように賢いんだ。ほら新約聖書のマタイ伝第10章第16節に蛇のように賢くとあるだろう、あれだよ。もっとも僕は、鳩のように素直なんだけどね。」
そうかな?
それにしても、ドナルド・トランプが、圧倒的に支持された理由はなに?
「文化だよ。ドナルド・トランプが持っているリアルで濃密な文化。」
マスコミは、経済が理由だと言ってるけど。
「現代人だってパンとスマホだけで生きてるわけじゃない。」
「マスコミは経済の問題に矮小化することで、視聴者の神経を逆なでしてマスコミへの関心をつなぎとめようとしている。しかし、経済なんかじゃない。文化なんだ。ドナルド・トランプの持っているリアルな人間の文化。人間の顔をしていない、こげ茶色のゴム人形のような、カマラ・ハリスの薄っぺらなコンサル文化なんかじゃなくてね。」
「アメリカ国民だって、日本国民だって、みんな一人一人が生きているリアルな人間なんだ。誰もコンサルの対象になったり、AIで選別される対象になったりするために、生きているんじゃない。」