コラム

鳩のように蛇のように

2024年11月20日   アメリカの大統領選、ドナルド・トランプの勝利をどう思う、と友人のKに尋ねてみた。 「前から分かっていたことだよ。」 でも、新聞やテレビの報道はそうじゃなかったよね。日本のマスコミも史・・・

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戦国武将仮説

2024年10月21日   英語の辞書を引いていたら、ヘテロセクシャルという単語が出てきて、いろいろ考えを巡らせているうち、こんな仮説が思い浮かんだ。   「人間の性質にはヘテロセクシャルつまり異性愛・・・

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不機嫌な未来

2024年9月20日   私は自分が目の前にあるものをあるがままにしか描けない画家であることはわかっている、と今度生まれてくるときはそう述懐できるような画家になりたいと思う。その実、目の前にないものを描いた数多・・・

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止まり木の記憶

2024年8月20日   社会党の代議士から、再び新宿ゴールデン街のバー『ひしょう』のママに戻った長谷百合子の出版祝賀会だったと思うが、バーの常連だった作家の梁石日(ヤンソギル)が挨拶に立った。そしておもむろに・・・

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日曜日は家にいた

2024年7月19日   むかしは学校でも職場でも土曜日が休みではなく、土曜日の午後からが休みで半ドンと言っていた。それで土曜日の正午近くになると気持ちがウキウキしたものだ。小学生の頃はとにかく1週間が長くて長・・・

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スピノザ

2024年6月20日   レンズ職人をしながら思索を深めていった哲学者という程度の乏しい印象しかスピノザについては持っていなかった。ここ数年ちょっとした書店にもスピノザ全集が並んでいたりするほどのブームだが、衝・・・

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ロンドンの古地図

2024年5月20日   イギリスの作家アンドリュー・テイラーの歴史ミステリー『The Shadows of London』を丸善で見つけて読んでいる。アンドリュー・テイラーは、日本ではまだそんなに翻訳されてい・・・

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鑑定士狩野亨吉

2024年4月19日   いま好きなことを三つ挙げろといわれれば、まず一つ目は本屋に行って面白そうな本をさがすこと。しかし、最近の本屋は自己啓発本やビジネス書、漫画本の類に押されて、面白そうな本は肩身が狭く、そ・・・

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田中のT

2024年3月19日   夜汽車の記憶は、北陸本線を北に向かう列車が鯖江駅に停車して、真向かいに座っていた人が静かに会釈して降りていき、長い髪の後ろ姿が遠ざかっていくときに、置き土産のように置いて行った旅愁と共・・・

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ブルームーン

2024年2月20日   人の感情や本能には、通常は脳による抑制がかかっているのだそうだ。ところが、酒を飲むと、そこに含まれているエチルアルコールがその抑制の抑制をするので、脱抑制が生じ、感情や本能の抑制が効か・・・

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小豆のとうふ

2024年1月19日   昭和の歌が懐かしくて聴いていたら、山崎ハコが出てきたので思い出した。そういえば、18歳の山崎ハコにインタビューしたことがあった。歌舞伎町の喫茶店で、僕がチャラい芸能記者よろしく、「ハコ・・・

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探し屋のひとりごと

2023年12月20日   森崎和江さんが亡くなっていたことを、本屋に平積みされていた本の奥付を読んで知った。僕が人を探して、福岡県の中間市というところに森崎さんを訪ねて行ってから50年近くが経つ。そのころ一緒・・・

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できない相談

2023年11月20日   阿佐ヶ谷の『書楽』が閉店するというNHKのニュースを見て暗い気持ちになった。太宰治や井伏鱒二ゆかりの書店とまでは知らなかったが、ひと月に一度か二度、『書楽』で本を買って、それを読みな・・・

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バックオーライ

2023年10月19日   人類の歴史上もっとも偉大な発明は何か。文字と答える人がどれだけいるだろうか。文字は、古代メソポタミアのシュメール人が苦心して考案し、地球上のすべての文字はそこから派生したというのが有・・・

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レヴィストロースの知性

2023年9月20日   クロード・レヴィ=ストロースが1986年に日本で行った講演を聞いた。もう何度目かになる。おそらく世界最高といっていい、この人の知性がどのようにして形作られたのか、考えながら聞いた。ソル・・・

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石田君のこと

2023年8月18日   不思議なことに、今頃になって、石田君のことをよく思い出す。石田君は一浪して入った鳥取大学の医学部の屋上から飛び降りて死んだ。僕に宛てた遺書があるという話だったが、それは届かなかった。僕・・・

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母ありて

2023年7月20日   夜中に目が覚めて、 眠れずにユーチューブを見ていたら、 鹿児島のラ・サール高校の入試問題の解説が出ていた。英語の長文である。 といっても高校入試だから中学生レベルの英語だが、 なんとな・・・

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大空襲の夜に

2023年6月20日   ジェイムズ・ケストレルの『FIVE   DECEMBERS』をやっと読み終えた。残りが50ページぐらいになってから、ページが減っていくのが惜しまれて、一字一句丹念に反芻しながら読んでい・・・

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好きになった人

2023年5月19日   歌手にはピークがある。ちあきなおみが、死期を悟った動物のように、人々の前からすーっと消えたのは、それを感知したからかもしれない。都はるみは、三十五歳がそのときだった。「普通のおばさんに・・・

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一冊の旅の重さ

2023年4月20日   出張に文庫本を一冊持っていこうと思って、どっちにしようか迷った。『昭和の名短編』か、『小林秀雄初期文芸論集』。『昭和の名短編』は荒川洋治編で、田中小実昌の「ポロポロ」、吉行淳之介の「葛・・・

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子どもの春秋

2023年3月20日   損得勘定で言ったら、子を持つことの損失は計り知れない。昔の人は、子を持つことを損得ずくで考えなかった。だから、後先も考えずに皆、子を生したのである。以前から度々引き合いに出しているが、・・・

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市電の停留所界隈

2023年2月20日   本がなぜ売れないか分かった。多すぎるからだ。昔は本が少なかった。だから本が売れた。逆説のように聞こえるかもしれないが、六十年あまり本屋ばかり通い続けてハタと気づいた真実だ。 &nbsp・・・

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数学嫌い

2023年1月20日   会計の仕事を長くやっていると、数学が得意なのだろうといわれることがあるが、この分野に数学が得意な人はあまりいないだろうと思う。会計は、数字を扱うといっても、足し算と引き算の世界だから、・・・

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読書の楽しみ

2022年12月20日   読書というのはすらすら本を読むことだと思って長年生きてきたが、どうもそうではなさそうだということがここへきて分かってきた。日本語の本はずーっとそういう読み方をしてきているので、なかな・・・

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フラココの絵

2022年11月21日   子どもというものは親に対して薄情に出来ていると思う。親の立場から子を見た場合にもそう感じるが、子の立場から親のことを思い出してもやはり薄情だったと少し胸が痛む。結局、親の子を思う気持・・・

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出ていない月を読む人

2022年10月20日   NHKの連続ドラマ『この声をきみに』は、朗読教室に通いはじめた主人公がしだいに朗読の楽しさに目覚めていくドラマである。小学生の頃、教科書を声に出して読むのが大好きだった人たちにとって・・・

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漢和休題

2022年9月20日   漢和辞典がピンチと聞いて、これはいけないと書店に走った。書店の書棚を見る限り、漢和辞典は、堂々とした佇まいで、他の辞書を睥睨して、特にピンチの顔はしていない。よしよし、それでいい。 &・・・

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知性、含羞、ヤクザ性

2022年8月19日   「男の魅力は、知性、含羞、ヤクザ性にあると宗教学者の山折哲雄が言っていたが、うまいこと言うもんだと思ったよ」などと友人のKに言ってみた。すると、マシンガンのようにKの言葉が返ってきた。・・・

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幸福の赤い雪

2022年7月20日   書評欄に勝又進の『赤い雪』が出ていた。勝又さんの訃報はだいぶ前に新聞に載っていたが、なつかしいなあ。職場の先輩だった勝又さんの朝霞の家に遊びに行ったのは、昭和50年前後のことではなかっ・・・

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僕たちの失敗

2022年6月20日   僕の前の奥さんは遅刻の常習犯だった。桜蔭の同級生で詩人の井坂洋子の『朝礼』という詩にいみじくもそのことが書いてある。   「安田さん、まだきてない。中橋さんも」。 &nbsp・・・

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