コラム

手帳の季節

2000年7月20日

 

今年の手帳と翌年の手帳をホチキスで綴じて使っている。半年ぐらいはそのまま使い、頃合を見てはずすのにホチキスが一番具合がいい。考えた商品名は「連年手帳」だが、ホチキスで綴じるだけでは商品になりようがない。今年の手帳には、2005年までの月単位のスケジュール表を別に作って貼り付けた。2002年4月のところには、たとえば“ペイオフ解禁”と記してある。こっちは商品名「未来手帳」と名づけたが、そんなに先の予定欄は結局あまり使うものではないと悟った。

毎年この時期になると事務所では『税務手帳』というのをまとめて買う。これには税制の概要が後ろに付いているので、出先でのアンチョコになる。聞くところによると、このアンチョコだけで税理士をやっている人もいるらしい。猛者である。姉妹版に『会計手帳』というのがあって、以前編集に携わっていたので今でも送ってくる。毎年どっちを使うか迷うが、結局いつも『税務手帳』になる。「税は会計よりも強し」である。

日本医師会からは『医師日記』という立派な手帳が送られてくる。後ろにどんなアンチョコがついているか気になるところだが、何も付いていない。さすがである。聞いてみると、アンチョコは別に立派なのがあるという。高島屋の手帳を毎年もらって使っていた時期もあった。予定しか書けないが薄くて胸ポケットに小さく収まるので重宝した。それ以前は文春手帳をたまにだがもらっていた。確か有名作家の住所録が載っていて人気があるのでなかなかもらえなかった覚えがある。

うんと前の自分の手帳を取り出してみると、けっこう空白が多く、水泳教室に行くとか、買い物に行くとか、どうでもいいようなことが書いてある。そういえば、なかなか手帳に書くことがなくてヒネリ出していた時期もあった。子供の頃は手帳などはもちろん持たなかった。ただ、小学校のクラスには手帳を持っている奴もいて、探偵手帳とか、なんとか少年団手帳とかよく見せびらかされた。少年雑誌で申し込んでいただけの話だが、そんなことも知らず、なぜあいつだけが探偵団に選ばれて自分は声がかからないのだと真剣に思ったときもあった。

最近の手帳には空白がほとんどない。息抜きに、『氷のゆりかご』というアザラシの写真集をときどき取り出して見ている。白い毛に覆われたタテゴトアザラシの赤ちゃん。あまりに愛らしすぎて困る。サルの写真集ぐらいがいいのかもしれない。高崎山の。

「♪ほーらね。♪そっくりなサルが、僕を指差してる。」